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鞆の陶片について考える

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2007年 03月 13日

鞆の陶片について考える

鞆の陶片の特徴 その5

保存状態の悪さ

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 陶片の古さ、質、量、どれを見ても広島では有数の陶片海岸なのですが、一つだけ不思議なのは、焚場の干潟東側から出る陶片の保存状態が悪いことです。明治~大正時代あたりの器などは、どこの海岸でも拾えますが、時代が新しいせいか、半分欠け程度の大きな破片で出てくることも珍しくありません。ところが焚場の干潟東側の陶片は江戸時代の陶片はもちろん、近代陶片でも、多くは細かい破片となって出てきます。
 なぜなのか。私は干潟を潮干狩り程度にですが掘ってみました。すると泥の中から出てきたのは、山ほどの石でした。自然の石だけでなく、石材として加工された痕のある石、あるいは石材によく使われるような材質の石が摩滅しないで、デコボコに角ばった状態で、次々出てきました。陶片はその間に挟まって出てくるのです。→そのときの状況
 この干潟は石がぎっしり詰まった場所でした。宮島でも、陶片がよく出る場所は石だの瓦だのが泥の中に詰まっていて、掘るのが大変でしたが、それにしてもここの状態は凄いです。薄い食器などは下敷きになって割れそうな気がします。陶片の多い場所のことを、私は「陶片の佃煮ができそうな」と表現してきましたが、ここの陶片は佃煮ではなくて、漬物になっているのかもしれません。
 また、鞆は江戸時代から港を整備するために、何度も埋立したり、石垣を築いたり、波止を作ったり、いろいろ海岸に手を加えています。ここの干潟は焚場の構築以外は、直接手が加わってはいないようですが、それでも工事の何らかの影響があったのかどうか、そのあたりはよくわかりません。

by touhen04 | 2007-03-13 09:20 | 鞆の陶片について考える


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